VOICE

2024年度

ディープテック起業実践演習(院生向け・Aセメスター)

講義全体

  • ピッチの機会に恵まれたことは授業のハイライトの一つでした。限られた時間内でアイデアを分かりやすく、かつ魅力的に伝えるスキルを鍛える場となり、チームメンバーと協力しながら一つの目標に向かって進む喜びを感じました。一方で、ブラッシュアップの過程では、フィードバックの解釈や優先順位の設定に迷うことも多々ありました。特に、複数の異なる意見を取り入れながら、事業計画をより実現可能な形にまとめる点で苦戦しました。
  • 学生の方は研究内容を頑張って事業化しようとする傾向にあるが、実際にフィールドワークをしてみるとニーズ面でそこまで事業性がないことを感じたのではないでしょうか。一方で、フィールドワークを通して、より解像度高く課題を理解し、事業性のある提案が必要であることも学べたのではないかと思う。何より、本気で社会課題を解決しようとする学生の方々の意思が大変好ましく、頑張って欲しいと感じました。
  • ディープテック分野における起業だけでなく、起業そのものに関する知識がほとんどない状態からスタートしました。そのため、授業の初期段階では耳慣れない単語や概念が多く、戸惑いを感じる場面も少なくありませんでした。しかし、授業を重ねるうちにそれらの用語や考え方についての理解を深めることができ、自分自身の知識の幅を広げる良い機会となりました。さらに、チームのメンバーと議論を重ねる中で、異なるバックグラウンドを持つ人々と協力することの重要性を実感しました。この経験を活かして、今後も多分野にわたる学びや挑戦を続けていきたいと考えています。
  • 起業の基礎知識から実践的なスキルまで、幅広い内容を学ぶことができました。前半では座学を通じて、事業計画書の作成方法、マーケティング戦略、資金調達の基礎、競合分析など、起業に必要な知識を体系的に学びました。この座学部分は、理論に基づいたビジネス展開を考える上での基盤を築く上で非常に有益でした。一方で、後半の授業では実際にチームを組んで事業プランを作成し、他チームや講師からフィードバックを受ける実践的な活動を通じて、知識を応用するスキルを身に付けました。
  • 授業や壁打ちを重ねる中で、この題材では事業としての展望が見えづらいのではないかという結論に至りました。その結果、講義の中盤に差し掛かるころ、チーム内で日々議論を重ねた末に方針を転換し、独居高齢者の認知機能低下を防ぐためのコミュニケーションロボットの開発を目指すことになりました。この経験はディープテック起業という枠組みを超え、今後の人生においても大きな糧となる、価値ある学びとなりました。この講義は、受動的に授業を聞くものではなく、能動的に考え行動することが求められるものでした。その分、大変さもありましたが、壁にぶつかるたびに学びが深まり、この苦労を惜しまなかったことで講義の価値は何倍にも膨らみました。結果として得た経験と学びは、今後の目標達成や人生設計に向けた大きな財産となりました。
  • 本授業を通じて、新たな事業アイデアを形にし、実際に実行可能なソリューションを模索する過程では、ビジネスを多角的に捉えるスキルを身につけることができた。とりわけ強く印象に残ったのは、事業規模を小さく見積もりすぎることによるリスクの大きさである。実際にピッチを行った際、「TAM(総市場規模)が小さすぎる」という厳しい指摘を受け、改めて自分の想定していた市場規模がいかに狭いものであったかを痛感した。普段の感覚では数十億円規模でも十分に大きく感じられるが、ディープテックのように大きなインパクトを目指す分野では、数千億円以上を見据える必要があるという考え方は、新規事業に取り組む上で非常に示唆に富んでいる。
  • このような学びを踏まえると、重要なのはビジョンをどこまで拡張できるかという点だと感じる。単に新しいアイデアを提案するだけでなく、その先にある成長ポテンシャルをどれほどアピールできるかが、社会全体に変革をもたらすビジネスへと進化させる鍵になるからだ。アイデアが優れていても、市場規模が小さいと認識されれば投資家やステークホルダーからの興味を惹くことは難しい。しかし、壮大なビジョンと、それを支えるだけの市場の可能性を見せられれば、さらなる資金調達や協力関係の構築が期待できる。結果として、イノベーションを起こすためには、適切な規模感と長期的な成長シナリオを描ききる力が不可欠なのだと実感した。
  • 本授業では、1つの授業とは思えないような濃い体験ができ (これまで2年で受けた他の授業すべての合計と匹敵するくらいの体験ではないか)、非常に多くの学びを得ることができた。後輩にもぜひ勧めようと思う。

フィールドワーク(FW)・仲間との出会い

  • 講義を通して、何度も、ネットに書いてあることだけではいけない、お金になることは誰かがやっていて、誰もやっていないことにはやっていない理由があるため、本当に可能なビジネスを見つけるには何度も足を運び、生の声を聞き、相場観を掴まなくてはならないということを学びんだからです。これまで、ビジコンなどに参加するとき、課題そのものをみつけるためにヒアリングに行き、それだけで解決策を作り、発表することが多かったですが、今回の講義ではそれでは不十分で、他のチームも積極的にヒアリングに行き、それでもなお課題の解像度が低いとフィードバックされていたのがとても刺激でした。フォーマットが用意され、過去の受講者や他のチームメンバーがヒアリングを行っている環境で、ヒアリングへの抵抗感が減り、かつ、数を行うことの必要性を強く感じることができました。このことは、今後のアクションにおいてもとても大事な武器になると思います。
  • 授業期間を通じて、私たちは幅広い活動を行い、貴重な経験を積むことができました。その中でも特に印象的だったのは、自動車メーカー、NEXCO、そして認証システムベンチャーの企業様へのヒアリング活動です。これらの活動を通じて、実社会における課題やニーズを直接学ぶ機会を得ることができました。企業ごとの視点や要望を踏まえたフィードバック(FB)を受け、それをもとに事業計画案をブラッシュアップしていく過程は非常に有意義で、具体的な改善点を見つける能力が磨かれたと感じています。
  • 複数のフィールドワーク先を訪問して話を伺った。話を聞いた数だけ、チームでの公開情報調査や議論では得難い貴重な視点を得られることが手に取るようにわかった。
  • ヒアリングを通じて、医薬品に対する仮説を検証・改善する中で、技術的なボトルネックがどこにあり、なぜこれまでの技術では解決に至らなかったのか、そしてなぜ自分の技術がそれをクリアできるのかを言語化できるようになった。この一連の流れを通じて、自身の研究の市場における立ち位置や研究の展開に対する解像度が高まり、事業計画にも通じる点があることを知ることができた。
  • 自分が解決したい課題に対して実現したい想いやビジネスアイディアを限られた時間の中で、複数の人に対して語りかけて、共感を引き出すという行為を初めて行った。/相手の想いや期待を理解しながら自分の想いとの接点を見つけることの楽しさと難しさの両方を理解した。/全員に共通する大きな課題感に対して、各チームメンバーの関心事項を複数のアプローチとして持ちながら、最適な解決策を探るためにチームで共に行動していく形があることを理解した。当初は一つのアプローチに賛同する仲間だけで進めるものと思い込んでいたが、それよりも大きな課題を共有する仲間で集まって、複数のアプローチを検討する方法が最も視野狭窄に陥らず、可能性の広がりがあるチームになると実感した。
  • いろいろな知識や経験、仲間が手に入ったが、実際に起業して軌道に乗せるにはより長い時間と労力が必要になることを実感し、その道のりの遠さも理解した。

本授業を通じての自己成長ポイント

  • チームメンバーと一緒に取り組むことで私が知っているのとは違うリーダーシップを実践することができました。
  • 事業プランを具体化する過程で論理的思考力や問題解決能力が向上しました。特に市場調査や競合分析を行い、具体的なデータに基づいて事業計画を立案するスキルを身に付けたことが成長の大きな要素です。また、フィードバックを受ける中で他者の視点を取り入れる柔軟性も培うことができました。これにより、自分のアイデアをより客観的に見直し、改善していく力が強化されたと感じています。
  • さらに、予期しないトラブルが発生した際にもプロジェクトを継続する力を学びました。チームが解散した後も、計画を再構築し、独力で進めた経験は、強い責任感と粘り強さを育む機会となりました。このように、本授業を通じて得たスキルや経験は、将来的に起業を目指す上で確実に活かせるものであると確信しています。
  • 夢や想いを説得力を持って伝えることの重要性と難しさを学んだ。説得力を持たせるためには、複数の可能性を常に意識して視野を狭めないことの重要性を理解した。このために、大きな課題感を共有しつつも異なるアプローチを持った仲間を持つこと、フィールドワークを通じてできる限り多くの人の話を聞いてあらゆる視点から説明できるようにすること、この2つが持つ効果の大きさを痛感した。自分のことについては一度決めると突き進んでしまうタイプだと思っていたが、仲間がいると客観的な視点で話すことができ、自身が意外にも新しいアイディアを次々に提供できる特性を持っていることがわかった。
  • チームメンバーとの方向性の調整に苦労したが、その経験を通じて、異なる意見をまとめる力やコミュニケーション力を磨くことができた。また、個々のメンバーの強みを活かしながら、事業案を完成させるプロセスを乗り越えた。
  • 研究の価値や可能性をより深く理解し、社会実装の視点で考える力が身についた。
  • 積極的に行動し、仮設思考を取り入れながらコミュニケーションする重要性を学んだ。

来期以降の受講生に向けたアドバイス

  • フィールドワークは大事です。研究室や教科書で言われている社会課題は、実際にビジネスにしようとすると難しいことが少なくなく、実際に見て当事者がどのような合理性で課題のある状態になっているかを理解する必要があるからです。ネットで拾えば大量の情報がありますが、当事者の考え方、行動は実際に触れてみないとわかりません。外に出て行動しましょう。
  • 授業を効果的に活用するためには、まずチーム結成の段階で目標や方向性を明確に共有することが重要です。お互いの強みや役割分担をしっかりと話し合い、計画的に進めることでトラブルを未然に防ぐことができます。また、授業中に受けるフィードバックを真摯に受け止め、柔軟にプランを改善することを心がけてください。さらに、チームでの活動だけでなく、個人でも主体的に学びを深める姿勢を持つことが大切です。困難な状況も多いかもしれませんが、それを乗り越えることで得られる成長は計り知れません。最後に、実践的な経験を楽しみながら取り組むことを忘れないでください。
  • 授業を受けるだけでも十分に価値がありますが、事業案作りに本気で取り組むことで、その価値は何倍にも膨らみます。この講義は、貴重な経験を得る絶好の機会です。ぜひ、本気で能動的に取り組み、与えられたチャンスを逃さないようにしてください。
  • やはり研究活動を抱えながら本講義に自分のリソースの少ない分を割くのは簡単ではないですが、そのおかげで研究内容を研究サイドでしか見えていなかったというスタート地点から、ビジネスサイドで自分の研究を見つめ直すきっかけができることが本講義の最大の意義かと感じています。私自身、ビジネスサイドから見たときにDDSの改善点や投資が進みにくい理由についても検討がつかないどころか、どのように調べていったら良いか分からなかったところから始まりましたが、FTI深津さんからの直接の講義やYouTubeでのオンデマンド講義での学びを発端に、何をどのように調べていくべきかわかり、今ではどんな方向性に研究や開発を進めていかないと勝ち筋が見えないのかの判断は多少できるようになったと感じています。また、学び進めると一つ一つのヒアリング先(私は東大の鄭先生やOISTの副学長などにヒアリングしました)での質問の質が高まり相手からの回答も本質に迫ることができるという体感を得られたことも嬉しく、今後現場に足を運んでのヒアリングに行くことへのハードルが下がりました。中々大変ですが喰らいつくことでしか得られない視座が得られる貴重な講義ですので是非やり切ってください!
  • オンラインベースで講義を受講している方は、なるべく早く1度は現地講義に参加をした方が良いと思います。私自身、ピッチ回で初めて現地参加をしました。その前は、正直どこか他人事のような感覚で講義を受けているところがありました。しかし、1度現地参加してみると、受講生の方の意識の高さや熱を直に感じることができ、このままではまずいと思い、ようやく自分事として、講義に取り組むことが出来ました。なので、なるべく早く現地講義に参加をして、現場の熱を体感することをお勧めします。
  • また、フィールドワークはどんどん行ったほうが良いです。私自身、フィールドワークに行って、見込顧客にヒアリングを行い、業界の問題構造や顧客の問題意識を理解できた後から、ビジネスプランを立てるのが楽しくなりました。問題の解像度が上がることで、ソリューションの解像度も上がります。そのことは、R&Dの必要期間やコストの解像度、必要なパートナーの解像度も上げてくれます。つまり、顧客の問題意識を理解し始めると、他のパートの解像度も上がり、ビジネスプランを作るのが楽しくなります。ぜひ現場に出て、真の情報を掴みに行ってください。