VOICE

2024年度

ディープテック起業家への招待(学部1-2年生向け・Sセメスター)

講義全体を通して

  • 起業家について何も知らない状態から受講を始めましたが、その実態についての説明を、各回様々なテーマを通して受けることができ、とても有意義でした。最初の研究室訪問を通じて今まで興味無いと思っていた内容も実は結構面白いなと思ったりしてそこから事業案を勧められたのでとても良い授業計画でした。ただ、FWに行く時間がなかなか取れず技術やその開発費についてうまく調べられなかったのは反省です。これまでずっと動物ロボットいいんじゃない?と漠然と考えていましたが、アドバイスいただく中でそのメリット、デメリット共に洗い出すことができました。こんなに様々なバックグラウンドを持った方々とお話できるのは素晴らしい機会でした。ありがとうございました。
  • この授業を受けるまでは、研究は自然の摂理などを明らかにするためのものであると思っていましたが、この授業を通して「研究はこんなにも社会を変える可能性を秘めているものである」ということを知れたことは自分にとって大きな学びでした。
  • 毎週のリサーチやFWを進めることにより自分自身の興味を深め、それを事業案にどのように繋げられるか考えることができたのはとても貴重な経験でした。まず最初にBig Pictureについて正面から考えさせられたことで、漠然としていたのかもしれない自分の興味や追い求めたいことを文章に起こして整理することができました。様々な人のBig Pictureに触れ、自分とは違う領域の世界を垣間見れたことは、自分の視野を大きく広げてくれたと思います。また、私は起業の知識が全く無かったため、講義で出てくる専門用語など初めて聞く事柄も少なくなく、勉強になりました。
  • 授業を通して、資本主義社会において起業がいかに優先度の高い活動であるかに気付かされた。授業前からジェンダー領域の社会課題を解決したいという思いがあったが、以前は特に社会保障やNPOの面での解決可能性を考えていた。しかし、授業を通して問題解決には起業が不可欠だと気付かされた。資本主義が社会の根底にあり、「どれくらいのお金をどう動かすか」、それが社会の姿を形作っていると気づいたためだ。ジェンダーにお金が使われるような社会にするためには、自分で事業を作り大きくすることが必要なようである。そこで、私は将来、お金の使われていない、社会からこぼれ落ちる人に光を当てるために資金調達をしたい。そして、ジェンダーの領域から事業を行いたい。
  • 授業中の新たな出会い(受講生ではなく、ゲストの方々)が何件かの実際の案件につながったのは、所謂既存の大学の授業の枠組みを逸脱した新しい活用方法として、体現できたのではないかと思う。講義開始初期から、色々な受講生の壁打ちに乗り、自分なりのアドバイスやフィードバックを送ることができ、実際に3人とも最終発表で登壇されていたのは、個人的にとても嬉しかった。
  • 自分の興味分野や将来のキャリアを考える上で一つの参考となる体験をした。入学してから興味分野が何なのかがよくわからず、最初は自分のテーマを何に設定しようかで迷ってしまった。しかし一つのテーマに絞ることにより、様々な人と話しフィードバックをもらうことで、テーマ外における自分の考えも深まったように感じる。またキャリアの面では、研究者になるのか起業をするのかどちらが自分により適しているのかがわからないのだが、各分野のフロントランナーである研究者や起業家、ベンチャーキャピタルの人たち、投資家などのお話を聞けて、それぞれの仕事の実態を掴み始めることができた。
  • 本講義では主に3つのプロセスを経て最終事業案に至った。1つ目に自分の原体験に基づくBig Pictureを探し、バーニングニーズでないことに気づく。次にチーミングをして技術を絡めたが、今度は技術の表面的な長所を並べて超汎用的な応用を考案し、0→1で価値を生むとはどういうことかをやっと理解。最後に技術の解像度をひたすら上げた結果、技術ドリブンで考えることの難しさを知り、Big Pictureの大切さを知った。結局最初のBig Pictureが大切に戻ったわけだが、講義最初に比べ、「Big Pictureとは」という問いに対する解像度が全く持って変わった。同時に自分が当初目的としていた、自分なりのBig Pictureに出会う、について、いつの間にか達成することができていた。
  • 授業期間の講義以外の活動として、BTさんとの壁打ち、事業案作成、FWを行った。壁打ちや事業案作成では、テーマ決めの段階からリサーチ、FWの相談、発表の練習に至るまでBTさんに定期的に相談することができたため、考えが整理できやるべきことを明確にすることができた。フィールドワークでは、駒場IIのオープンキャンパスや学科のラボツアーに加え、先生方にご紹介いただいた方にもコンタクトを取ることができた。事業案作成では、「なぜ今でも実現されていないのか」「なぜ自分なら解決できるのか」という部分を具体的に考えるのに苦労した。それらをもっと突き詰めて考え解像度を上げるためにも、これから様々な方にお会いしてヒアリングをし続けたり研究を進めたりすべきだと思った。

本講義を通じた成長

  • 自ら主体的に研究を調べるようになった点。
  • ビジネスの用語や考え方に対する解像度、様々な技術に関する解像度、本や論文を読む抵抗が減った、普段のコミュニティにいては関われない属性の人々との出会い、自分の夢の実現の仕方、自分の欠点(頼れない、発信できない、行動できない)ことに改めて気づけた。
  • 一通り、事業案の作り方の流れに触れることができた。自分が思っているよりも事業案を考えるのは厳しいということを実感した。周りに能力もすごい上、行動力、努力量も圧倒的な存在がたくさんいるということを知って自分も積極的に動こうと思った。
  • 以前よりは答えのない問いについて考えるようになった。この授業に出なければ知らなかったであろう社会課題について知れた。
  • 主に4つの点で成長したように思う。技術ドリブンと課題ドリブン両方を講義内で経験したため、どちらからのスタートの仕方についてもかなり理解を深めることができた。①Big Pictureを見つける過程への理解が非常に深まった。Deeptech起業の場合、技術について知らないことには自分の範疇を超えた本質的な問は見つけることができないため、とにかくまず技術を知ることから始めなくてはならないことが分かった。②技術を知るとはどういうことか、を知った。技術を知るとはネットに転がっている表面的な技術の長所を並べることではなく、大量の論文、専門家へのFWによって、その技術のどうしようもなくダメな部分と、その技術の本質にあるのは何なのかを知るということである、ということを痛感した。③イケてる技術を売る難しさを知った。技術を知ったうえで、普段はどうしようもなくダメな部分が邪魔して価値のないものになってしまうのだが、ここでなら技術の本質が最大限発揮される、そんな場所を見つけなくては、0→1で価値を生むことはできない。そしてそんな場所を見つけるのが、本当に難しいところなのだな、ということを知った。④スタートアップについての理解が非常に深まった。スタートアップとは何で、バーニングニーズとは何で、PMFとは何なのか。そしてバーニングニーズを見つけ、PMFに至れるような売り方を考えるにはどうすればよいのか、等、全く持ってスタートアップに対する理解の質が変わった。
  • 授業期間において自分が興味ある分野に気づくことができた。積極的にいろんなコミュニティに参加しようと思えた。ビジネスの世界に対する知見を得られた。
  • 受講以前は、自分は能力が不足しているのだから積極的に他人を頼ってはいけない、と思ってしまうことが多かった。しかし、普段は雲の上の存在に見える優秀な人たちも、自分と同じように悩みながら事業案を考えていた姿から、積極的に周りを頼る力や考え抜く力がその優秀さを作りあげていることが分かった。この事実から、ひとまず自分の考えを外に向けて発信して、いろいろな人の考えを取り入れ、一生懸命考えてみることを恥ずかしく思わないようになった。能力は元から大小・向き不向きがあるというだけでなく、取り組み方によっても形づくられるものである。

来期以降の受講生に向けたアドバイス

  • 1つ目にできるだけコミットすること。コミットすればするだけ成長できる講義です!2つ目にFWに積極的に行くこと。私は最終提出2週間前に大きくピボットしてFWが間に合いませんでしたが、行っていれば得られた学びは大きかったのではないかと後悔しています…。3つ目に先生方に積極的にアドバイスをいただきに行くこと。最初は少し緊張しますが自分では気付けないご指摘をいただけるので得るものは大きいです!
  • 授業を目的とするのではなく手段として用いること。つまり、自分のしたい研究分野への技術解像度を高めたり社会的意義を考え直したりする機会とすると良い。
  • 臆せずFWに行く。臆せず壁打ちする。
  • この授業はかなり個人のやる気に左右されるので、気軽に参加でき、本気で取り組むこともできる良い授業だと思います。すごい人が多いので、刺激は受けれますが、人と比べると自分出来ないなと感じるなら、難しいけど、気にしない鈍感力も大事だと思います。とりあえず、興味があればやってみるのがおすすめです。
  • サービス利用者へのヒアリングもしっかりしたほうがいい。自分ではいいと思った事業案も、現場の人からすれば全然必要のないものである可能性も高い。授業で事業案に対するフィードバックをくれる人たちも、その分野の現場の人ではないので、事業構造の良し悪しは判断できても現場ベースでの良し悪しは判断できない。そこのギャップを解消するためにも、最低5件はヒアリングに行ったほうがいい。
  • 1年生の間は必修が多くてあまり時間を確保できないかもしれませんが、1年生の間にこの授業を受けておくと、そこからの残りの大学生活が大きく変わります。2年生でこの授業を受けた人よりも1年早く視座を高めることができます。途中で脱落したくなることもあるかもしれませんが、頑張ってくらいついて、この授業から吸収できるものはすべて吸収できるように頑張りましょう。
  • Big Pictureがぼんやりしている人はまず自分の内発的動機と向き合って深掘りし切ること。その上で、Big Pictureや使いたい技術がある程度決まった段階でどんどん動き始める/レポートを書き始めること。動いた分、手を動かした分だけ事業案の解像度は上がるしアウトプットの質も高くなる、この授業は手と足を動かした者だけが自分の得たい結果を手に入れることができるのだと実感した。あと単純に、そうしないと提出直前になってしんどい。
  • 自分の立てた課題が事業につながるものになっているか、BTの方や講師の方へ相談して、早い段階で課題をブラッシュアップしておくことで、その後の技術のリサーチ、事業案の組み立ての軸になりうまくいくと思います。
  • ①動けば動くほど学びとチャンスを得られる講座なので、Think before Actのマインドセットを押し殺して、Act before Thinkを実践しにいくこと。②本授業を俯瞰する視点を持つこと。補足:履修選択の際などに、本講座の評価等を眺めていると、この講座がとてつもなく「前衛的」かつ「本質的」な授業を展開しているようなイメージを漠然と受け、実際に講座で登壇されるゲストのお話を聞くと、大学の他の授業では決して味わえない「刺激」や「正しさ」のようなものさえ感じてしまいます。そんな講座を受けるのが、まだ大学受験を終えたばかりの学部1, 2年生であることを考慮すると、本講義において一つ意識しておかなければいけないと思うのは、ディープテック起業というとてつもなくNicheでHard Thingsであるテーマを主軸に据えた本講義は、決して一つの定まった「正解」ではなく、数ある道のりの中の一つの「選択肢」であるということを認識する、その冷静さと俯瞰視点を持っておく、ということだと思っています。この授業やその履修生コミュニティにはその代を「牽引」していくような面々が揃っているような印象を受けるかもしれませんが、それは決して異能集団などではなく、仕組みとしてはある一つの授業を受け終わった履修生コミュニティでしかありません。実際に、本講義で取り上げるような大きな課題に取り組む場合は、このような「話が当たり前のように通じる優秀な相手」だけでなく、自分がこれまでの道のりで出会って来なかった/出会えなかったり⁨⁩、ディープテックの話を理解してくれない/そこに意義を見出さないような人や組織とも関わりを持っていくことが必要条件であり、その俯瞰視点(自身のポジショニングとこの特異な環境を批判できる視点)を持てるかどうかが、今後事業を大きくしたり、キャリアの幅を利かせていく上で、とても重要な要素だと感じています。そのためには、講座内外で様々なコミュニティや人と関わりを持ち、起業やディープテックといったラベリングに守られようとせず、常に今のコンフォートゾーンから抜け出していくような、気概と挑戦心が重要だと思っています。ただ、上記はこの講座をメタで捉えた場合に、という話なので、まずは熱中して入り込むというステップももちろん欠かせないと思っています。
  • 技術を知らない学生がDeeptech起業におけるBig Pictureを考えるには、とにもかくにも技術を知ることからだと思いました。技術を知らないことには本当に自分の範疇を超えられなかったです。逆に何でもいいので技術を一つに絞った場合、1か月あれば本当に専門家ジュニアくらいにはなれる(めちゃくちゃおこがましいかもしれませんが)ということを痛感しました。Big Pictureは一旦早めに仮決めをして、解像度をある程度上げた段階でreview論文を読み、目についた技術1点に絞ったうえでひたすら論文とFWで技術の解像度を上げると、その過程で必ずBig Pictureの解像度は上がるので、その段階に入ってからまたBig Pictureに戻って技術の0→1での価値の生み出し方を知る』というのが、技術を知らない学生の、Deeptech起業におけるBig Pictureの見つけ方なのかな、と思いました。逆にある程度すでに専門性がある人は、『その技術の専門性を上げ、次にその技術が0→1で価値を生める場を探す。その過程でその場が見つかればそれでよいし、見つからない場合は本質的になぜその技術が研究されているのか(研究者が何に魅力を感じているのか)を知ったうえで、その本質を同じく持った別の技術を探すのが良いかと思う。その技術の上位にあるカテゴリー(物理RCであればニューロモルフィックコンピューターの一つ)を見ると、そのカテゴリーが目的としている解決したい課題が必ずある。そしたらそれをBig Pictureにして課題ドリブンの段階に移る』という進め方がいいのかな、と思いました。
  • とくにお茶大生へ。周りの受講生はもちろん優秀ですが、優秀な人たちに混ざり、たくさんの有識者の話を直接聞ける、最高の機会です。運の良いこの環境を最大限に活用し、自分がどこまで良いアウトプットを出せるか試してみてください。優秀さは積極的に他人を頼り、考え抜くことから生まれます。大学の一授業なので、周りに引け目を感じる必要はありません。強気で行きましょう。